オハイオからおはよー!

アメリカのオハイオ州シンシナティで駐在勤務している女性のブログ

いま全米で起きているデモについて

日本でもニュースになっているとおり、ジョージフロイドの事件が発端となり、全米では多数の都市でデモが行われていて、デモ隊の暴徒化や略奪が問題になっています。

ここシンシナティにおいても先週後半にダウンタウンのお店の窓ガラスが夜中に割られたと、そのお店のインスタグラムのアカウントで見て心を痛めていたのですが(とても好きなお店なので)、週末にデモが行われ、日曜日の夜から明日火曜日までの夜間外出禁止令が発令された状況です。

また、シンシナティ近隣の都市であるケンタッキー州ルイスビルでは、ダウンタウンのお店はどこも木の板で窓ガラスを保護されているものの、保護していないお店の窓ガラスは割られ、ATMやバス停のガラスも割られていると、友人が写真をポストしていました。インディアナ州インディアナポリスも同じような状況のようです。

 

最近は、今の状況をどう思う?と誰もがデモについて話しています。日本にずっと住んでいた私としては、確かにあの事件はひどいもので、警察官は逮捕されるべきだけれども暴徒化はただの便乗なんじゃないの?と思っていましたが、ただ、色々なアメリカ人と話すことで少しずつ考えも変わってきました。

一人の友人は、過去何度も差別による殺人や事件が米国内で起き、そのたびにデモを行うけれども、結果的に状況が変わっていない現実があり、平和的なデモ(プラカードを持って行進)だけでは何も変わらない、という政府への不信感も今回の暴徒化の背景にあると感じているようです。確かに、今回の事件が起きた当初は警察官に対する処罰は解雇だけでしたが、デモがひろがり、逮捕に至りました。とはいえ、その罪状は第3級殺人罪などで、どうやらそれは「殺意はなかったけれど、殺してしまった場合」の罪状らしく、事件時の動画を観た人は分かると思いますが、そんな罪状に納得がいくわけもなくデモは悪化しました。そもそも事件が世の中に知れ渡るようになったのは周囲にいた人が事件の動画をSNSにアップロードして拡散されたからであり、時代が違えば(今回もまわりに人がいなければ)、誰も知らずに事故として片付けられていたのでしょう。

また、違う友人はシンシナティのデモに実際に参加したようですが、デモ隊が何かしたわけでもないのに、警察から催涙ガスを使ってきたと言っていました。なお、催涙ガスジュネーブ条約によって軍隊における使用が禁止されています。ちょっとこのあたりは理解できないというか、警察がデモ隊の暴徒化を煽っているようにすら感じてしまいました。そもそもその友人は軍経験者ですが、警察のほうがすぐに人を殺すから恐怖を感じると言っていました。

こういった背景がある上に、アメリカは今どこもコロナの影響で失業者数が最悪な状況です。また、新型コロナによる外出禁止令中に痛感しましたが、スーパーの店員のような、あまり賃金が高いとはいえないうえに人と接触することによる感染リスクが高い職種はほぼ黒人でした。つまり、そのような職業選択に関係する色々なところでも人種による差があり、それもこの事件やデモの根底にあるのだと思います。

 

何が起きればデモが収まるのか、私には想像がつきません。また、オハイオ州は2週間前からレストランや小売店の営業が再開したばかりですが、デモに巻き込まれるのを避けるためにダウンタウンに飲みに行こうとはならないですし、そもそも夜間外出禁止令がでているので出かけることができません。この結果、また失業者が増えると思うと、なんとも言えない気持ちになります。

ただ、海外から見えている以上に米国における差別は根強いことを、今回あらためて感じています。